東洋思想
こんにちは。
株式会社ISDエデュケイションズ 服部真人です。
少しずつ春の気配を感じ、花粉が飛び回るになってきましたね。
皆さんいかがお過ごしでしょうか。
さて、今月のコラムは、私が普段から興味を持っている「東洋思想」についてのお話です。
仏教や禅、老荘思想(道教)、あるいは神道や儒教…。
こうした東洋思想って、なんとなく「昔の人が大切にしていた古い教え」「現代のスピード社会には合わないもの」というイメージがありませんか?実は今、この古くて時代遅れだと思われていた東洋思想が、「一周回って、世界の最先端の考え方」として大注目されているみたいです。
今日は、なぜ今になって東洋思想が脚光を浴びているのか、その驚きの歴史と秘密をじっくり紐解いてみたいと思います。
「物質的な豊かさ」に疲れた若者たちからのSOS
近代以降、世界を引っ張ってきたのは「西洋の思想」でした。
科学を発展させ、大量にモノを作り、利益をどんどん生み出す
資本主義という強力なエンジンによって、人類は「物質的な豊かさ」を手に入れました。
一方で、東洋思想は数百年〜千年以上もアップデートされないまま。
「利益を生み出す役には立たない、カビの生えた古い教え」として、世界の表舞台からは忘れ去られていたのです。
しかし、1960年代のアメリカでひとつの転機が訪れます。
「モーレツに作って、モーレツに消費して、とにかくお金を稼ごう!」というオールドアメリカンな大人たちの価値観に対し、当時の若者たちが「物質的な豊かさより、心や精神の豊かさのほうが大事じゃないか!」「自分らしく自由に生きたい!」と反発し始めたのです。
これが「カウンターカルチャー(対抗文化)」と呼ばれるムーブメントです。
(ラブ&ピース!と叫んだヒッピー文化や、伝説の音楽フェス「ウッドストック」もこの時代ですね)
物質主義の社会から逃れ、精神的な救いを求めた若者たちが大挙して向かった先……それこそが「東洋」でした。
彼らはインドや日本に渡り、仏教の瞑想やヨガ、禅、老荘思想の精神世界にどっぷりと浸かり、大いなる癒しとインスピレーションを得たのです。
シリコンバレーの天才たちが受け継いだ「東洋の精神」
この1960年代に若者たちが東洋から持ち帰った「オープンで自由な精神世界への憧れ」は、アメリカ社会で静かに燻り続けました。そして数十年後、IT革命の波に乗って一気に花開きます。
現代の私たちの生活に欠かせないスマートフォンやSNSを作ったシリコンバレーの起業家たちは、実はこの「カウンターカルチャー」の精神を受け継ぐ、東洋思想の熱烈なファンたちだったんです。
Appleと「禅」 スティーブ・ジョブズは日本の禅僧から深く禅を学びました。無駄を削ぎ落とし、本質だけを残す。あのiPhoneの洗練された「シンプルさ」は、まさに禅の美学そのものです。
X(旧Twitter)と「老荘思想」 創業者のジャック・ドーシーは、「無為自然(人間の作為を捨て、自然の成り行きに任せる)」という老荘思想を愛していました。140文字という制限(足るを知る)を設け、ユーザーを無理にコントロールせず、自然なコミュニケーションの流れを見守るスタイルはここから来ています。
Facebookと「仏教」 創業者のザッカーバーグは、「すべてのものは繋がっていて、互いに影響し合う」という仏教の「縁起」の思想に触れ、世界中の人と人をつなぐサービスに情熱を注ぎました。
さらにGoogleが、仏教の瞑想をベースにした「マインドフルネス」を企業研修に取り入れ、今や世界中の企業の常識になりました。私たちが「シンプルに暮らしたい」と願う感覚は、最先端のテクノロジーの根本にもしっかりと流れていたのです。
西洋の「最先端」は、日本の「江戸時代」だった!?
さらに面白いのが、日本の「儒教」や「神道」のお話です。
最近、西洋の哲学の世界では「利益だけを追求する資本主義はもう限界だ。これからは地球や人に優しい、道徳的(倫理的)なビジネスをしよう!」という新しい考え方(倫理資本主義)が提唱され、「世界最先端の哲学だ!」と話題になっています。
西洋ではこれまで「環境や人に配慮するとコストがかかる=経済と道徳は両立しない」と考えられてきました。
だからこそ、この新しい哲学が画期的だとされているのですが……。
「え、それって日本では何百年も前から当たり前にやってきたことじゃない?」
そうなんです。実は日本では、150〜300年も前から「経済と道徳の両立」が実践されていました。
たとえば、約150年前。新一万円札の顔にもなった「日本の資本主義の父」渋沢栄一は、儒教の『論語』をベースに「正しい道理で得た富でなければ長続きしない。道徳と経済は同時に成立する」と明確に説きました。
さらに時代を遡ること約300年前の江戸時代。
石田梅岩という学者は、日本の「神道」の精神である「浄明正直(きよく、あかるく、ただしく、なおき心)」を商売に持ち込みました。 自分の利益ばかりを追うのではなく、「正直に誠実に相手を思いやること(売り手よし・買い手よし・世間よしの三方よし)こそが、結果的にお客様からの大きな信用と利益を生む」と説いたのです。
西洋が「最新の哲学」としてようやくたどり着いた答えを、日本人はずーっと昔から、当たり前の美意識として持っていたんですね。
なんだか、むちゃくちゃ痛快で誇らしい気持ちになりませんか?
私たちの感覚は、間違っていなかった
「目に見えるもの」や「数字・効率」ばかりが重視されてきたスピード社会から、今は「目に見えない心の豊かさ」や「自然との調和」「まわりへの思いやり」が見直される時代へと大きくシフトしています。
私たちが東洋思想に心惹かれたり、「お天道様が見ているから正直でいよう」「もったいないから大切にしよう」と感じるのは、それが決して「過去の遺物」だからではありません。これからの時代を自分らしく、しなやかに生きるための「最先端の知恵」がそこにあるからです。
あなたのその優しい感覚は、世界に誇れる素晴らしい精神性です。
ぜひこれからも、ご自身の直感や価値観を大切に、心地よい日々を過ごしてみてくださいね。
少し長くなりましたが、最後までお読みいただきありがとうございました!
今回の東洋思想のお話、いかがでしたか?
「ここが面白かった!」「私はこう感じたよ」など、ぜひInstagramのコメント欄や投稿して、あなたのご感想を聞かせていただけるととても嬉しいです
それでは、今月も心穏やかで素敵な日々をお過ごしください。