コラム

  1. HOME
  2. コラム
  3. 「言葉の魔法」

「言葉の魔法」

ISDエデュケイションズの服部真人です。
今月のコラムは

「言葉の魔法」にダマされていませんか?

最近読んだ本で、こんな面白い話がありました。
『自分とか、ない 教養としての東洋哲学』(サンクチュアリ出版)

この本の中で・・・
とても興味深い実験が紹介されていました。

とある街角でこんな実験をしてみました。

何の変哲もないおっさんに、名刺を渡してもらいます。
名刺にはこう書いてあります・・・
「株式会社○○ 代表取締役社長」

すると・・・
なんということでしょう!
さっきまで普通のおっさんだったのに、
急に背筋がピシッと伸びたイケオジに見えてきませんか?

今度は同じ人に別の名刺を渡します。
「クリエイティブディレクター」
また印象が変わります。

最後に・・・
「CIA工作員」
もう完全に別人に見えますよね!?

これが「言葉の魔法」です。

私たちは誰もが、毎日この魔法にかかって生きているのです。

でも、ちょっと待ってください・・・

この本にはもっと面白いことが書いてありました。

「彼女がいないのに『僕は彼氏です』と言う人がいたらどう思いますか?」
・・・めちゃくちゃ怖いですよね。

「弟がいないのに『僕は兄です』と言う人がいたらどう思いますか?」
・・・これも怖い。

でも考えてみてください。
「彼氏」は彼女がいて初めて成立する。
「兄」は弟や妹がいて初めて成立する。

つまり・・・
弟が生まれた瞬間、一人っ子だった人は兄になる!
兄と弟は同時に生まれるのです!

これを龍樹は「依存関係による生起」と呼んだそうです。
※龍樹(りゅうじゅ) インド仏教の僧で密教の祖とも言われている偉い方

さらに驚くべき発見が・・・
同じ人でも、言葉によって次々に変化します。

「知らない人」→「友達」→「彼氏」→「夫」→(離婚)→「他人」

あれ?
同じ人のはずなのに・・・
なぜこんなに変わるのでしょうか?

この本によると・・・
すべては「言葉の魔法」が作り出した幻想だからです。

では、この魔法から抜け出すにはどうすればいいでしょうか?

私たちは困ったとき、こんなループに陥ります・・・

「なんで自分はダメなんだ」

もっと落ち込む

「いや、自分はデキるはずだ」

でも現実は変わらない

また落ち込む

この心の中の「フィクション上書き戦争」・・・
めちゃくちゃ疲れませんか?

禅の答えはシンプルです
この本で紹介されている禅の教えは・・・

「言葉を捨てろ」

これだけ。
難しく考える必要はありません。
ダメな自分も、デキる自分も、
どちらも言葉が作り出した幻です。
だったら・・・
シンプルに言葉を手放してしまえばいいのです。

実際にやってみてください。

次に落ち込んだとき・・・
「自分はダメだ」という言葉を捨ててください。
「でも自分はデキる」という言葉も捨ててください。

ただ・・・
今この瞬間を感じてみてください。

どうですか?
意外とスッキリしませんか?
これが「空」の境地だそうです。

現代の私たちは言葉に囲まれています。

SNSのプロフィール
肩書き
ステータス
フォロワー数・・・
すべて「言葉の魔法」です。

でもこの本を読んで気づきました。

時には立ち止まって・・・
その言葉の向こう側を見つめてみる。

そこには、
言葉では表現しきれない、
豊かで生き生きとした現実があります。

ISD個性心理学でも同じです
東洋哲学と同じように・・・
複雑に考えすぎると、良い結論が生まれません。

シンプルに3分類
シンプルに今年の流れだけを知る

これで相手にスッキリ伝わります。

小難しく説明すると・・・
混乱を招き、不安を与えるだけです。

『自分とか、ない 教養としての東洋哲学』
この本から学んだこと。

言葉は道具に過ぎません。
その道具に支配されるのではなく、
必要な時に使い、
必要でない時は手放す。

頭もシンプル
伝え方もシンプル
行動もシンプル
そんな単純で深みのある人になりましょう!!